この本は、昭和の最後を宮大工といわれ、長年法隆寺の修復にたずさわり、
法輪寺三重塔・薬師寺金堂を再建した西岡常一が「木の文化」について語ったものである。
この本を読んで思うのは、とにかく日本人は木が好きな、民族であり、
そして木を使う技術にかけても世界一流である。
そしてそれは、針葉樹の白木の肌を中心にして発達してきたところに特徴がある。
私たちは今、鉄とコンクリートに囲まれ、ガラスとプラスチック使いながら、
なにかいらだちといったものを感じ始めている、そしてときとして、木のような素朴な材料に
心を惹かれ、それと静かに語り合いたいと思っている。
大工 井手 郷志