こんにちは!
熊本で創業110年、昔ながらの「手刻み」による家づくりを続けている村田工務店の代表の村田英樹です。
今日は、これから熊本で家を建てる方、そして「今ある家を残すか、建て替えるか」で悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたいお話です。
先日、大和ハウス工業が国内の新築戸建住宅事業を大きく再編する方針を発表しました。

新築戸建住宅については展開地域を絞り込む一方、リフォーム、買取再販、不動産仲介、アフターサービスなど、既存住宅を活用する「住宅ストック事業」を全国で強化していく方向です。
これは、一企業だけの話ではないと私は思っています。
日本の住宅業界そのものが、
「新しい家をどんどん建てる時代」から、
「今ある家をどう生かし、どう次世代へつなぐかを考える時代」
へ変わり始めているのではないでしょうか。
しかし、熊本でこの問題を考えるとき、絶対に忘れてはいけないことがあります。
それが、地震です。
2016年4月。そして2026年7月。
2016年4月、熊本地震が発生しました。
地元、益城町では4月14日と16日、短期間に二度、震度7を観測しました。
そして約10年後の2026年7月、八代・氷川町を中心とする熊本は、再び大きな地震に襲われました。
私たち熊本県民は、また家が揺れる恐怖を経験しました。
工務店を経営する私が、この二度の経験を通じて改めて強く感じていることがあります。
「家は、家族の命を守るためにある。」
デザインも大切です。
断熱性能も大切です。
設備も大切です。
しかし、その前にあるのが、
「大地震が起きたとき、この家が家族の命を守れるのか?」
ということです。
これが、熊本の家づくりで絶対に外してはいけない原点だと思っています。
「古い家を活用すればいい」では足りない
日本にはすでに多くの住宅があります。
熊本にも、
「壊してしまうには、あまりにも惜しい」
と思える家がたくさん残っています。

築50年、築70年、築100年。
立派な柱がある。太い梁がある。
今ではなかなか手に入らない木材が使われている。
そして何より、
おじいちゃん、おばあちゃん、両親、子どもたちが過ごしてきた家族の思い出があります。
だから私は、古いから壊すという考え方だけが正解ではないと思っています。
二度の大地震を経験した熊本だからこそ、まず考えなければならないことがあります。
「この家は、次の地震から家族を守れるのか?」です。
熊本のリノベーションは「見えないところ」が重要
「キッチンを新しくしたい」
「お風呂を新しくしたい」
「LDKを広くしたい」
「おしゃれな古民家にしたい」
というご要望をよくいただきます。
もちろん全部大切です。
しかし私たちが最初に見るのは、そこではありません。
基礎は大丈夫か。
柱は大丈夫か。
梁は大丈夫か。
接合部は大丈夫か。
そして、この家の耐震性はどうなのか。
完成してしまえば見えなくなるところにこそ、お金と技術をかける。
私は、それが二度の大地震を経験した熊本の工務店の責任だと思っています。
だから「大工の目」が必要になる
古民家再生や大型リノベーションは、新築とは大きく違います。
古い家を開けてみると、
「図面と違う」
どころか、
そもそも図面がない。
そんなことも珍しくありません。
一本一本の柱が違う。
梁の大きさも違う。
木のクセも違う。
痛み方も違う。
だから現場で、
「これは残せる」
「ここは補強が必要」
「この柱は交換した方がいい」
と判断できる技術が必要になります。

「手刻み」です。
現在の木造住宅では、工場で木材を加工するプレカットが一般的です。
もちろんプレカットにも大きなメリットがあります。
しかし、築50年、70年、100年という建物を再生するときには、
木を見て、触って、その場で考えて加工できる大工の技術
が必要になる場面があります。
私は住宅ストックの時代になるほど、こうした昔ながらの大工の技術が、もう一度必要とされると考えています。
「100年前の棟梁との会話」

古民家の天井を開ける。
すると、黒光りした大きな梁が現れます。
そこには100年前の大工がノミを入れた跡が残っていることがあります。
その仕口を見ながら、
「なぜ、この棟梁はここをこう刻んだんだろう?」
「なぜ、この木をここに使ったんだろう?」
と考える。
私はこれを、
「100年前の棟梁との会話」
だと思っています。
昔の棟梁が魂を込めてつくった家を、今の私たちが受け取る。
そして、残せるものは残す。
補強すべきところは補強する。
そこに現代の耐震性能、断熱性能、設備、暮らしやすさを加える。
そしてまた、次の50年、100年へつないでいく。
これこそ古民家再生の醍醐味ではないでしょうか。
「壊す」「残す」だけではない。第三の選択肢。

ここはぜひ皆様に知っていただきたいところです。
古い家について、
①壊して新築する
②そのまま残す
この二つしかないと思われている方が多いのですが、もう一つあります。
それが、
③安全にして残す。
という選択肢です。
ただし、何でも残せばいいわけではありません。
調査した結果、構造的な問題が大きく、建て替えた方が安全で、費用面でも合理的なら、私たちは新築をご提案します。
逆に、
「この柱はまだ使える」
「この梁はぜひ残したい」
「きちんと耐震補強すれば、次世代へつなげられる」
という家なら、古民家再生や大型リノベーションという方法があります。
大切なのは、
新築を売ることではありません。
リノベーションを売ることでもありません。
そのご家族にとって一番安全で、一番幸せな方法を考えること。
それが地域工務店の役割だと思っています。
古い家が、こんな暮らしに生まれ変わる
昔からある柱。
大きな梁。
欄間。
建具。
家族の思い出。
そうしたものを残しながら、
暖かくする。
地震に強くなる。
暮らしやすくする。
そして現代の生活に合う間取りに変えていく。
古い家だからこそ出せる雰囲気があります。
新築ではつくろうとしても簡単にはつくれない、「時間がつくった美しさ」があります。
そこに現代の性能を加える。
これが村田工務店が考える古民家再生です。
大和ハウスの決断から見える住宅業界の未来
大和ハウスが新築戸建住宅の展開エリアを絞り、その一方で既存住宅を活用するストック事業を全国で強化する。
私は、この流れはこれからさらに大きくなると考えています。
しかし熊本では、
「中古住宅を活用しましょう」
だけでは十分ではありません。
2016年。
そして2026年。
二度の大地震を経験した熊本だからこそ、
住宅ストック × 耐震
という考え方が絶対に必要です。
村田工務店がこれから力を入れる4つの住まいづくり
これから村田工務店は、
新築 × 古民家再生 × 大型リノベーション × 買取再販
という4つの選択肢を、さらに充実させていきます。
ただし、すべてに共通する一本の軸があります。
「家は命を守るもの」
新築なら、地震から命を守れる家をつくる。
古民家再生なら、残すべきものを残しながら安全性を高める。
大型リノベーションなら、見た目だけではなく構造から考える。
買取再販なら、安心して次のご家族へ渡せる住まいにする。
これが、二度の大地震を経験した熊本で、村田工務店がこれから取り組んでいきたい住宅ストック事業です。
「実家を壊そうか」と考える前に、一度見せてください。
最後に、熊本にお住まいの皆様にお伝えしたいことがあります。
「実家が古いから地震が心配」
「築50年以上だから、もう壊すしかないだろう」
「親から受け継いだ家を残したいけれど、安全なのか分からない」
「中古住宅を購入してリノベーションしたい」
そんなお悩みがありましたら、
解体する前に、一度その家を見せてください。
最初から「新築にしましょう」とは言いません。
最初から「リノベーションしましょう」とも言いません。
まず、その家を見ます。
そして、
「この家は、家族の命を守れる家として残せるのか?」
一緒に考えます。
壊してしまった家は、二度と元には戻りません。
だからこそ、
壊す前に、残せる可能性を調べる。
そして残すなら、
安全にして残す。
それが、これからの熊本の家づくりの一つの答えではないでしょうか。
2016年、2026年。二度の大地震を経験した熊本から。
自然災害そのものを止めることはできません。
次の大地震がいつ来るのかも分かりません。
しかし、
そのとき、家族を守れる家をつくることはできます。
今ある家を調べることもできます。
必要な耐震補強を考えることもできます。
そして、残す価値のある家を次世代へつなぐこともできます。
創業110年。
昔ながらの手刻みの技術と、現代の耐震・断熱技術を融合させ、
「一生大切にしたい愛着のある家」
を次の世代へ。
村田工務店は、
「日本一の手刻み工務店」
を目指し、これからも熊本の皆様の命と暮らしを守る家づくりを続けてまいります。






